Introduction: 3Dを使った海の幸のつくりもの

About: 文化資源学会分科会「文化資源学を支えるテクノロジー」研究会、通称「文テク」です。 We are a research unit on Technologies for Cultural Resources, commonly called "BunTeku". We are a branch of the Association of Cultural Resources Studies,…

2015年5月の神田祭付け祭りで利用した海の幸「つくりもの」です。江戸時代の附け祭りの絵巻物から着想を得て、3Dプリントで型を作って量産し、身に着けて江戸の附け祭りを復興しました。皆様の地元のお祭りでも活用ください。

神田祭当日の様子は https://sites.google.com/site/bunteku2013/ に掲載しています。

投稿者が作ったデータも https://sites.google.com/site/bunteku2013/ からダウンロードできます。

用意するもの

・スキャンしたい魚

・3Dスキャナ(投稿者はSENSE3Dスキャナを利用)

・3D加工ソフト(投稿者はMexhmixerとShade3Dを利用)

・3Dプリンタ(投稿者は3Dプリントサービスを利用)

・新聞紙

・チューブ糊

・水

・針金

・飾り付けたいもの(ご自由に!)

Step 1: 魚をスキャンする

スキャンしたい魚を用意します。スキャン後にデータを加工できるので、魚の大きさには特にこだわる必要はありません(投稿者は鯛とカサゴをえらびました)。

3Dスキャナを使って魚をスキャンします。一度に一部の面しかスキャンできないので、一匹を何回かに分けてスキャンする必要があります スキャンしても魚は汚れません。最後はきちんと食べましょう。

Tips:スキャンに適しているのは、表面があまり反射せず、また凹凸がすくない魚です。透明な部分もスキャンしにくいので、ヒレなどはうまくスキャンできない場合があります。片面のみのスキャンでも、データがあれば反転させてすることができます。

Step 2: 雌型をつくる

(3D加工用ソフトによって操作方法が異なるので、自分にあったソフトを利用してください。)

スキャンしたデータを組み合わせて、元の魚の形状をつくるため、加工用のソフトに読み込みます。

様々なアングルからスキャンした複数の3Dデータを読み込み、欠損部を補うように、重ね合わせていきます。空洞になってしまう部分は、加工ソフトの機能を使って埋めます 続いて型の本体となる直方体のデータを作ります。

直方体から先ほど作った魚を「引き算処理」することでくりぬけば、雌型(凹型の型)が出来上がるので、自由にサイズに拡大・縮小します。 あとは3Dプリンタで出力するだけです。

投稿者が使ったカサゴと鯛の雌型3Dデータは https://sites.google.com/site/bunteku2013/home/ot... からダウンロードできます

Step 3: 生地をつくる

プリントアウトした雌型を使って飾り付けの土台となる「生地」の片面を作ります。糊に浸した新聞紙を雌型に貼り重ねていくことで、新聞紙の生地が出来上がります。

一層目は、糊を使わず小さくちぎった新聞紙を水で湿らせ、型の面に沿わせます。二層目以降は、ちぎった新聞紙に水に溶いた糊を含ませて、指でしっかり押さえながら型に沿わせて重ねていきます。

万遍なく10層ぐらい重ねたのちに、ドライヤーを当てて乾かします。表面がおおよそ乾いたら、雌型との接着面の隙間から温風を入れてはがします。

この後、全体が自然乾燥するまで、数日置いておきます。

Tips:完全に乾いてしまうと、剥がす時に破れてしまうので、少し湿り気が残っているぐらいがちょうどいいです。

Step 4: 針金で支柱をつくり、組み合わせる

針金で支柱をつくり、組み合わせる。

乾いた生地からバリ(魚のフォルムからはみ出している部分)を切り取ります。

その後、生地に針金を当てて、支柱のおおよその形状を決めます。あとで笠に取り付けられるように、底の中央部分から支柱の足が出るようにバランスを調整してください。

支柱の形状が決まったら、支柱を挟んで左右の生地を合わせて、糊を含ませた新聞紙で接合面を補強します。

Step 5: 飾り付ける

自由に材料を揃えて飾り付けます。集めた材料や身の回りのものを活用し、各自がイメージの赴くままに飾りつけを行いましょう。

Tips:投稿者は100均ショップで様々な材料を揃えましたが、着色用には美大生御用達の絵の具を用意しました。要所要所には少しお金を掛けたほうがよさそうです。

Tips: リアルな形にしたいときは、目、口、さらには全体の形状など、好みに応じて紙粘土を貼って整形します口などは、カッターナイフで好きな大きさ、形に切り広げました。

最後に、乾燥によるひび割れを避けるために、表面に和紙でコーティングします。

Tips:今回見つけた飾り付けのコツ ウロコの再現。洗濯ネットを貼って絵の具を塗ると、ちょうど魚の鱗のように見える面白いテクスチャーができます ヒレの再現。キッチン用の竹ひごに紙を貼り付けて整形しました。

生地にカッターナイフで切込みを入れて差し込めば安定します。 重さとバランス。笠に載せてかぶるので、軽めに作ります。前後のバランスも考えます。

Step 6: 笠に載せる

波のパターンを作ります。手書きで波を作る場合は、画像加工ソフトでちょうど笠を一周するぐらいの長さまでつなぎ、印刷します。

印刷した紙から波を切り抜いて笠に巻きつけ、大型のホチキスで2、3箇所留めます。最後に笠に魚を載せ、針金で固定します。

これで完成!ぜひ地元のお祭りでかぶり、江戸の雰囲気をかもし出してください。

Tips:普通紙よりもコシのある紙を使うと、笠が動くとちょうど波のようにゆらゆら揺れて雰囲気が出ます。

投稿者が利用した波の画像ファイルは https://sites.google.com/site/bunteku2013/home/ot... からダウンロードできます。